交通事故の被害者必見!病院費の支払いに使える保険と補償の範囲

交通事故71

交通事故はいつ遭遇するかわからない身近な危険です。2020年度の統計では、交通事故は1年間に約31万件発生しており、負傷者数は約37万人です。いつ誰が巻き込まれてもおかしくありません。では、交通事故の当事者となったとき、その治療費は誰が支払うのでしょうか。

以下では交通事故にあった際に使える保険と、支払われる範囲について解説します。

交通事故の病院費は誰が払うのか

交通事故にあった場合、病院で診断と治療を受けます。けがの度合いがひどく、通院を続けなければならなくなった場合、その費用は誰が支払うのでしょうか。当然、加害者が保険で支払うと思われるかもしれません。しかし、原則的に病院は治療や診断にかかった費用の全てを被害者に請求します。

そのため、一時的にせよ被害者は自分で費用を負担する必要があります。もちろん、病院費用は加害者が支払うべき費用です。話し合いが済んだ後に、被害者が加害者に対して請求することで支払いを受けられます。自分で支払いをした場合には、支払いを証明できるよう領収書を保管しておくようにしましょう。

自己負担が難しいなら加害者側の自賠責保険も考慮

自己負担が難しいときはどうすればよいのでしょうか。加害者側と治療費の負担について話し合いが済んでおらず、加害者側からの支払いを期待できない場合には、加害者側の自賠責保険の利用を検討するとよいでしょう。自動車損害賠償責任保険は一般的に自賠責保険と呼ばれる強制保険です。

被害者請求制度があるため、加害者を介さずに治療費の直接請求ができます。ただし、請求の手続きに手間がかかります。もし、加入している任意保険に弁護士特約がついているならば、弁護士に依頼するのもよいでしょう。

また、加入している保険に人身傷害補償が付いている場合には、自分の保険を使って治療費にあてることもできます。なお、交通事故の処理になれた病院では、加害者側の保険会社に請求手続きをとってくれることもあります。

そのため、交通事故の被害にあったときは、まずは病院の窓口でその旨を相談するようにしましょう。

交通事故の被害者はどんな保険が使えるのか

交通事故被害者は、自らが加入する保険だけでなく、相手側が加入している保険からも損害賠償の支払いを受けられます。では、どのような保険を交通事故の被害者は使えるのでしょうか。まず、最初に検討したいのは、加害者側が加入している任意保険と自賠責保険です。

任意保険とは自動車の利用者が任意で加入している保険を指します。対して、自動車を運転する際に加入が義務付けられている保険が、自賠責保険です。任意保険も自賠責保険も同じ保険じゃないかと思われるかもしれません。

しかし、任意保険はその補償の範囲やサービスに長けているため、加害者側にとっても有益です。

関連記事:交通事故の被害者はPTSDになり心のケアが必要な場合がある

加害者側の加入している保険

加害者側の任意保険からは次のような補償サービスが受けられます。まず「対人賠償保険」です。自動車事故によって他人を死傷した際の補償です。交通事故の被害にはあったが、事故を起こした車の搭乗者であったときは「人身傷害補償保険」や「搭乗者傷害補償保険」によって、病院費の支払いを受けられます。

自賠責保険からは「傷害による損害」「後遺障害による損害」「死亡による損害」が発生した場合に、支払いが受けられます。盗難車での事故や加害者が特定できないなど、自賠責保険の支払いが受けられない被害は「自動車損害賠償保障事業」の制度によって、病院費などの支払いを受けることが可能です。

被害者側の加入している保険

交通事故の被害者は自分が加入している保険の利用もできます。被害者が加入している自動車保険に「人身傷害補償保険」が付いている場合や「搭乗者傷害補償保険」が車に設定されているときは、これらから病院費を支払うこともできます。

この2つの保険はそれぞれ別に支払われることが一般的です。「無保険車傷害保険」が設定されている場合、加害者が特定できない場合や無保険であったときに、自らの保険から支払いを受けられます。この他にも「労働者災害補償保険」やクレジットカードや住宅保険に付属した特約などの補償による支払いもあるので、交通事故被害にあった場合にはチェックしてみるようにしましょう。

なお、病院での診断や治療には公的な健康保険が使えます。交通事故は第三者の行為によるものなので、病院診療には公的な健康保険が使えないと思っている方が少なくありません。しかし、第三者行為による傷病届など所定の書類を提出すれば、公的な健康保険が使えるので、必ず病院側に申し出るようにしましょう。

関連記事:交通事故の補償は被害者は無職だとどうなる?損害賠償請求などについて解説

交通事故にあったとき保険の対象となる範囲

保険を利用した場合、その費用はどこまでが補償されるのでしょうか。交通事故の病院費には、直接に診断や治療にかかる費用以外にも、さまざまな出費が考えられます。この点、治療費の範囲は「必要かつ相当な実費」の全額であると解されています。

具体的には、改善効果が医師によって認められる治療に関する費用です。しかし、客観的に治療効果が認められたとしても、その内容によっては治療費に含まれない場合があります。医師の指示によらない治療は実費となる可能性があるので注意しましょう。

症状固定後の治療費は、症状の悪化を防ぐ必要があるなどの特別な理由がない限り、原則として治療費には含まれません。また、医師が必要と認める場合、家族などの付き添いにかかる費用も保険で補償される可能性があります。

このような費用を付添看護費と呼びます。自賠責保険で認められている付添看護費は、交通事故被害者の近親者が付き添いをする場合、入院1日あたり4100円、通院1日当たり2050円です。入院の際に発生する、パジャマやタオルといった日常品の購入費や、テレビカードの購入代金は、入院雑費として保険で補償されています。

自賠責保険の入院雑費は1日あたり1100円です。病院に通う際の交通費も、保険の支払い対象です。原則として交通費の全額が補償されます。公共機関の運賃の他、ガソリン代や駐車場料金が交通費に含まれます。ただし、歩行困難や極めて交通の便が悪いところに医療機関があるなど、やむを得ない特別な事情がない限りは、タクシー代金の補償はされません。

この他、医師や看護師への謝礼が治療費の範囲として補償の対象となる場合があります。ただし、社会通念上、常識的な範囲でのお礼に限られます。

保険の補償範囲を把握しよう

交通事故の被害者となったとき、まず確認しなければいけないのは、保険の補償範囲です。そのうえで、病院費にどんな保険が使えるのかを把握することが大切です。交通事故は誰もが遭遇する可能性があります。今まで遭わなかったからといって、これからも大丈夫という保証はありません。

いざというときに慌てないように、自分の保険の補償範囲やクレジットカードのオプションも、詳しく調べておくとよいでしょう。