交通事故の被害者が無職でも、休業補償はもらえるの?

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交通事故に遭うと、被害者は、入院や通院中の休業補償や、働けなくなった場合には逸失利益を請求できます。でも無職の人なら、どうなるのでしょうか。事故で無職になったわけではないので、こうした賠償金は請求できないのか、気になりますよね、実は無職でも、休業補償や逸失利益がもらえる可能性はあるのです!そこで、ここでは、無職の人が請求できる慰謝料や賠償金について解説します。

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無職ってどんな人?

年金受給者、生活保護受給者、学生、所有する不動産からの賃貸料で生計を立てている不動産オーナーは無職にあたります。収入が全くない人だけが無職であるとは限らないことに注意が必要です。年金や賃貸料は不労所得といい、労働の対価としての収入ではないからです。

こうした無職の人は、交通事故に遭った時にはどんな賠償金を請求できるのでしょうか。

無職の被害者がもらえる慰謝料・損害賠償金は

労働対価としての収入を得ているかどうかに関係なく、交通事故の被害者がもらえる慰謝料や損害賠償金には、次のようなものがあります。後遺障害がない場合は、医療費や治療代、入院費、通院にかかる交通費などの「治療関係費」、自動車や事故によって壊れた物を修理するための「修理代」、通院や入院することによる精神的苦痛に対する「入通院慰謝料」を請求することができます。

後遺障害を負ってしまった場合には、そのことによる精神的苦痛に対する「後遺障害慰謝料」も加算されますが、医師の診断を受け、後遺障害等級が認定されないと請求できません。参考までに、すべての車の所有者に加入が義務付けられている自動車損害賠償責任保険では、被害者に支払われる入通院慰謝料は1日4300円で、診察代、入院費、通院費や投薬代などの治療関係費は実費が支給されます。

後遺障害がない場合には、治療費や慰謝料、休業補償などの損害賠償額が120万円までとされていますので、それを超える金額は、加害者が任意自動車保険に加入していれば、そこから支払われます。

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休業補償はどうなるの?

無職の人は交通事故で収入が減ったり、途絶えたりするわけではありません。したがって、年金受給者や生活保護受給者、不動産オーナーなどは休業補償を請求できません。しかし、なかには無職でも休業補償を請求できる可能性があります。

例えば、専業主婦(主夫)のように家族のために家事労働をしている人です。労働対価としてお給料をもらっているわけではありませんが、事故で家族の世話ができなくなったら、子どもにシッターを雇ったり、家事サービスを依頼したりしなければならなくなるので、加害者に休業補償を請求するのは当然です。

しかし一人暮らしの人が自分で家事をしている場合は、専業主婦には含まれず、休業補償はありません。またアルバイトをしていた学生も、事故でアルバイトを休むことになれば、休業補償をもらえる可能性があります。卒業が近く、内定をもらっていた学生が事故に遭い、内定が取り消されたり、入社が遅れたりした場合も同様です。

そのほか、求職中であったことが証明できれば、加害者側との示談交渉次第では、休業補償をもらえるかもしれません。

無職の人の休業補償はどう計算するの?

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専業主婦の場合、収入は賃金センサスで算定されます。賃金センサスとは、国が公表している「賃金構造基本統計調査」を元に計算された平均賃金で、2019(令和元)年には、女性労働者の全年齢・全学歴の平均賃金は388万100円となっています。

これをもとに、治療のために家事労働ができなかった日数から休業補償金を計算します。アルバイトをしていた学生やパートをしていた主婦の場合には、事故前の時給や勤務日数を考慮して算定します。

無職でも、交通事故による逸失利益はもらえる?

逸失利益とは、事故がなければ受け取れるはずだった将来の収入が途絶えることへの損害に対する補償で、「後遺障害逸失利益」と「死亡逸失利益」があります。では、事故に遭った時に無職だった人は、逸失利益はもらえるのでしょうか。

答えは、その人の状況によって、請求できるケースとできないケースがあります。以下では、どんな人が逸失利益をもらえる可能性があるのか、「後遺障害逸失利益」と「死亡逸失利益」に分けて解説していきます。

後遺障害逸失利益をもらえるのは、どんな場合?

後遺障害逸失利益は、交通事故で後遺障害を負ったことで、労働能力が低下したり、喪失したりして得られなくなる収入の損害です。無職の人はもらえないと思われがちですが、請求できる可能性が高いケースがあります。まず専業主婦はもらえる可能性があります。

しかし年齢によって算定基準が変わり、被害者が、労働能力喪失期間とされている67歳を超えていると、平均余命の半分を喪失期間として算定します。また一人暮らしの人は自分のために家事労働をしているため、逸失利益は請求できません。

年金生活者や生活保護受給者、不動産オーナーなどは、後遺障害を負っても、収入には影響しませんので、逸失利益は請求できません。しかし生活保護受給者は、労働意欲があって、事故がなければ就職していた可能性が高いことが証明されれば、逸失利益を請求できるケースもあります。

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死亡逸失利益をもらえる人、もらえない人

年金受給者や不動産オーナーは、休業補償は請求できない可能性が高いのですが、死亡逸失利益は請求できます。事故に遭って亡くならなければ、その後も年金や不動産の賃貸収入があったはずだからです。一方、生活保護受給者の場合は、死亡しても逸失利益は請求できない可能性は高いとされていますが、その人が就労できる可能性があったことが証明できるなら、一定の収入を想定して死亡逸失利益を請求できます。

また無職であっても、専業主婦(主夫)には逸失利益も認められます。家族の家事労働を担っていた専業主婦(主夫)が亡くなると、遺族は家事代行サービスなどを利用しなければならなくなるからです。学生が交通事故で亡くなった場合も、将来就職して得られるはずだった収入を逸失利益として請求できます。

内定をもらっていなくても、学歴や性別、年齢に応じた賃金センサスをもとに、将来就職していたらもらえるはずだった収入を死亡逸失利益として計算します。

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無職でも、休業補償や逸失利益を請求できるかも!

事故に遭った時に無職だった場合、治療費や慰謝料はもらえても、休業補償や逸失利益は請求できないと思っている人は少なくないかもしれません。でも、休業補償や逸失利益を請求できるケースがあります。損害賠償請求権の時効は5年ですので、「無職だから」と諦めていた人も、請求できるかもしれません。

算定額や算定方法は年齢や学歴などによって異なりますので、弁護士など専門家に相談してみましょう。